【感想】三国志演義(訳・立間祥介) 第一回~三十回

羅漢中の三国志演義を読み始めました。まずは三十回まで。

何度となく読み返している吉川英治の小説「三国志」、最近久しぶりに全巻読み終えたんですが。

【雑記】吉川英治の「三国志」を久しぶりに読破しました。
https://42986506.at.webry.info/202001/article_9.html

しかしながらいまだに本来の原作である「三国志演義」はきちんと読んだことがなかったのでついに読むことを決意。もともと吉川英治版はいろいろとアレンジしてあるようですしね。ただ昔三国志演義を手に取ってみた時は字体が読みづらくて読む気になれなかったんですよね。しかし2019年に発売された角川ソフィア文庫版は明朝体だしふりがなだったり読みやすいように表記も改めてあるのでこれならいけるかもと。翻訳は立間祥介。人形劇の三国志はこの人の翻訳が原作になっていたようですね。

というわけで角川ソフィア文庫版の1巻を読み終えました。第三十回「官渡に戦って本初敗績し 烏巣を劫って孟徳糧を焼く」までが収録。三国志演義は全百二十回でこの文庫は全4巻なので1巻につき三十回というペースのようですね。
で、実際に読んでみると吉川版との違いがいろいろわかって面白い。吉川版では劉備三兄弟が桃園の誓いを立てるまでかなり長いんですが演義ではあっという間に、しかもあっさり義兄弟になってしまう(笑)。これを読むと義兄弟になるってのはわりと軽くというか気軽に行うイベントなのかもしれないですね。まあ史実では義兄弟の契りも桃園の誓いもないですけど。少なくも吉川版のようにいろいろな積み重ねの上で結ぶようなことでもない印象。

他にも貂蝉は連環の計で董卓を呂布に殺させた後で吉川版では自ら命を絶ちますけど演義では普通に呂布の側室に。これもかなり貂蝉に対して受ける印象が変わりますね。少なくとも呂布と一緒になることを嫌がっているわけではないようですし、董卓を殺してくれたことに対して彼女なりに報いようと思う気持ちがあったのかそれともほんとに情がわいたのか。そのへんは想像するしかないですけどね。

個人的に一番驚いた違いは張飛が呂布に城を奪われるきっかけとなった曹豹への暴行でした。吉川版では禁酒の誓いを立てておきながらそれを破ったことを諫める曹豹に逆切れして張飛が暴行をしたわけですが。演義ではなんと下戸の曹豹に無理やり酒を飲ませ、飲めないというとブチ切れて杖で100叩きの刑を与えるという。クズ過ぎて笑えない(笑)。いや前者でも酷いんですけど演義のほうはさらにたちが悪いというか。

それから劉備と曹操ですが、演義の文章は吉川版に比べるとドライというかそこまで心情描写をじっくりねっとりやってるわけではないせいか印象がかなり変わりますね。劉備なんかは吉川版ほどお人よしという感じではなく自分のポリシーというかルールを曲げないタイプという印象。徐州を譲られることを固辞するのも自分の主義に反するからってほうが強い気がしますしいい意味で若さゆえかという気も。わりと頼れる感じの人物として描かれてますね。
曹操は逆に良くも悪くも冷たい印象。吉川版は情のあるところも残忍なところもどちらも演義より誇張して書いてるので良くも悪くも人間味があって魅力が増してるんですよね。敵の首を取ってきた許褚の背中を叩いてほめてやるシーンとかも吉川版のオリジナルみたいですし。ただ一方で呂伯奢一家殺害のシーンは演義では陳宮も曹操と一緒にためらいなく皆殺しにしてるんですよね。吉川版だととまどいながらもやむにやまれずみたいな感じですし平然と殺せる曹操がどこか壊れてるみたいな扱いになってる。このへんは一長一短かもしれませんが曹操に関してはそれでもやっぱり吉川版のほうが好きかも。


とまあ三国志演義の4分の1を読んでみて吉川版とのいろんな違いがわかってかなり面白かったですね。この調子で次の2巻を読んでみます!


三国志演義 1 (角川ソフィア文庫)
三国志演義 1 (角川ソフィア文庫)


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