【感想】OVA「銀河英雄伝説」本伝・第3期 77~86話

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原作8巻・乱離篇にあたるエピソード「風は回廊へ」から「八月の新政府(ニュー・ガバメント・イン・オーガスタ)」までを久しぶりにdアニメストアで視聴しました。

【感想】OVA「銀河英雄伝説」本伝・第3期 55~64話
https://42986506.at.webry.info/202011/article_6.html
【感想】OVA「銀河英雄伝説」本伝・第3期 65~76話
https://42986506.at.webry.info/202011/article_12.html

外伝全てと本伝1期・2期を原作を再読しながらほんとに久しぶりに再試聴。そして本伝3期のクライマックスまでたどり着きました。すべての終わりも見えてきたんですよね。

〇回廊の戦い

ヤンとラインハルトの最後の戦い。イゼルローン側は約29000隻の艦艇を有していたわけですが、この数は想像以上に多いんですよね。廃棄予定だったのを強奪したのとチュンによって譲渡されたのを合わせても7000隻。マル・アデッタで脱出した2割を加えて11000隻くらいか。残りは造兵廠から脱出した艦艇と各地の星域から集結した分を合わせたものでしょうけど。いずれにしても3割近くは使えないとはいえヤンが2万隻も初めて指揮することになるわけですね。
そしてこの戦いでは序盤にビッテンフェルト・ファーレンハイト・メックリンガーの3艦隊、約45000隻を各個撃破。ラインハルト率いる帝国軍本隊約15万隻との戦いでも奮戦、最終的に帝国軍に艦艇35000隻以上もの損害を与えることに。帝国軍の上級大将であるファーレンハイトとシュタインメッツも戦死してますしね。
イゼルローン側の損害ははっきりしませんが6000~8000隻くらいになるのかな。いずれにしてもヤンの戦術能力は間違いなく宇宙最強と言えますね。ただそれを支えた最も重要な艦隊運用の名人、フィッシャーが戦死したことが巨大すぎるダメージにもなったわけですが。OVAではこの戦いでわりとフィッシャーがよく画面に出てきてましたね。
この戦いでの帝国軍の劣勢はラインハルトが中盤までは大兵力を十分に生かさなかったことが原因ですけど、逆に指揮してるのがラインハルトでなければヤンはもっと楽だったでしょうね。1600万人もの兵と名将たちを完全に統率できるのはラインハルトしかいないわけで。結局、ヤンに勝てるのはラインハルトしかおらず、ラインハルトに勝てるのもヤンしかいないということなんでしょうねー。

〇魔術師、還らず

ヤンが会談に赴く時に寝室で読んでたのは原作だと怪奇小説ですがOVAでは原作者・田中芳樹の「夏の魔術」にしてるんですよね。久々に見て思い出しました。
銀英伝の後半は「テロとの戦い」が大きなテーマにもなってるわけですが、ラインハルトの暗殺未遂や帝国軍の幹部たちが襲撃されてもなおそこまでの脅威には感じてなかったんですよね。それがヤンが犠牲になることで真の恐ろしさを思い知らされることになるという。さすがに何度も見ているシーンなのである程度慣れてはいたはずなんですが、こうやって通して連続視聴したのは久しぶりだったのでちょっとというかかなり精神的にダメージを受けました。ヤンの死そのものもですが、それ以上にユリアンを見てるのがきつかったというか。あと、パトリチェフとブルームハルトの死も外伝を見直した後だとやはり思い入れが大きくなってる分辛い。
ヤンの死の衝撃もさることながら、OVAとしてはそれを演じた富山敬氏がそれから一年もたたずに亡くなってるんですよね……。すい臓がんの末期だったとのことですが、確かに3期の中盤あたりから2期に比べて声にやや力が無くなりだしてるのも感じられるわけで。そういうことをわかってて聴いてるとさらにつらいものがありました。ヤンというキャラはたぶん考えてる以上に演じるのは難しいと思うんですが、この人のユーモアあふれる語りがさらに魅力あるものにしてたという気がします。ほんとに名優でしたね。
富山氏の死によって本来フィクションの中でのみアニメのキャラが死んだはずの出来事が、スタッフや視聴者までヤンの喪失を現実のものとして体験することになるという。

〇ユリアンの個性とは

ヤンの後を継いで軍事指導者となったユリアン。フレデリカはヤンとの違いは「個性の差」なのだからユリアンにしかできないことをやればいいと励ますわけですが、じゃあユリアンの個性っていったい何なのかというのがずっとわからなかったんですよね。大人たちに支えたいと思わせる人格や何をやらせても優秀な才能、いろいろあるわけですが決定的なものとは思えなくて。帝国の双璧クラスの才能はあるとヤンから認められてましたが10代ではそれもまだ可能性の段階ですしね。
ただ、オーディオドラマ「ユリアンのイゼルローン日記」を購入して聴いてるうちになんとなくわかってきたのは、ユリアンがヤンを誰よりも尊敬してること自体が最大の個性なのではないかと思うようになりました。ヤンはラインハルトこそ宇宙で一番輝かしい個性だと思ってるから共存を考えましたけど、ユリアンにとってそれは絶対にヤンだからラインハルトの帝国を議会政治を導入してヤンの民主主義思想で乗っ取るということまで考えることができるわけで。ラインハルトの輝きに惑わされないんですよね。もっともこれに関しては別の意味でラインハルトを問題にしてない人物も理由は違えど同じ方法を考えるわけですが。
あともう一つは「ルドルフの影を意識していない」ということではないかと。ヤンもラインハルトも500年も前の人物であるルドルフをどうしても強烈に意識せざるをえなかったんですがユリアンはそこまで意識してないんですよね。歴史上の間違った存在としてはもちろん認識はしてますけど。これはユリアンにとって「民主制社会の軍人で英雄」というのはルドルフではなくあくまでヤンだからでしょうね。
こういうヤンの存在を巨大なものとして魂レベルで所持しているからこその発想ができるというのがユリアン最大の個性なのではと思い始めています。

〇イゼルローン共和政府

銀英伝あらゆるシーンの中で一番心揺さぶられたのは間違いなくこのイゼルローン共和政府樹立のシーンでした。ヤンが死んで本当の絶望を味わった仲間たちがそれでも立ち上がるという姿に人間のすばらしさを見たというか。「民主共和制の思想と制度を後世に残す」というヤンの理想はこの時初めてヤンだけのものではなく全員の共有するものになったんではないかと。ヤンのしてきたことが決して無駄ではなかったと本当に感動しましたねー。ここからが民主共和主義者の本当の戦いなんですよね。


これで本伝も3期まで原作及びOVAの再読・再試聴を終えました。いよいよ残すは本伝4期・24話のみ!



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